在宅介護で避けて通れないのが、臭いの問題です。
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私も祖母の介護のときに、加齢臭と便の臭いに悩みました
在宅介護で染み付いた臭いは、換気で消えるわけでもなく、つねに悩みの種になる問題です。
臭いが発生すると家族はもちろん、要介護者もストレスになりかねません。
生活している以上、介護に慣れていない家族もいます。
「臭い」「汚い」といって、要介護者に近寄らない家族もいるでしょう。要介護者にとって、これほど悲しいことはありません。
今回は、在宅介護をしている人に向けて、要介護者の部屋の臭いの消臭対策を紹介します。
在宅介護の臭いで悩んでいる人の割合

エステーは2022年10月に、在宅介護中の20~69歳男女計461人にアンケート調査を実地。
「介護空間に漂うニオイや物に染み付いたニオイが気になりますか」の問いに対して「非常に気になる」と「やや気になる」と答えた人が71.6%。
気になる場所1位は「介護をしている部屋」(64.8%)で、2位は「トイレ」(62.4%)、3位は「おむつを捨てるごみ箱」(35.5%)でした。
このうち「ニオイがするから他人を家に入れたくない」(43.6%)、「ニオイについて、あなたが介護している要介護者に言えない」(35.2%)、「ニオイの対処方法が分からない」(33.6%)と臭い対策ができていないことが判明しています。
在宅介護で臭いが発生する理由

紙おむつやポータブルトイレの使用、ストーマの便破棄により、今までトイレにとどまっていた臭いが部屋に入ってきてしまうのが原因です。
さらに要介護になってくると、お風呂の回数も週に2回と減ってきます。枕カバーや布団に染み付いた汗の臭い、湿布や加齢臭などが混じって独特な臭いが漂うのです。
私は家族とともに、要介護2の祖母を自宅で介護していました。
80代の祖母は、卵巣がんが判明し、がんの手術により入院。大腸にがんが癒着していたため、ストーマ生活になりました。
トイレは部屋の横にあったため、ポータブルトイレの設置はしていませんでしたが、末期が近づくにつれて紙おむつを使用するようになりました。
がんが悪化するにつれて、加齢臭なのか独特な臭いに加えて、1日2~3回ほどのストーマ内の便廃棄、1日5~6回のおむつ交換があります。
換気扇を設置したものの大した効果はなく、6月でも窓を開ければ「寒い」と言われる始末。
買い物に行くときなど他人から「臭いと思われないかな?」と気になるようになりました。
在宅介護の臭い対策は?

服、寝具、室内空間の3カ所を意識するだけで、部屋の臭いは気にならなくなります。
要介護者の服
起きたらパジャマから私服に着替える習慣をつけましょう。脱いだ服は着まわさずに洗濯へ。できればワンシーズンで新しい服に取り換えると臭いを防げます。
素材は漂白剤が使用できる綿、麻、ポリエステルがおすすめです。
要介護者の洗濯物と家族分は、しっかり分けるといいですよ。
洗濯は、介護専用の洗剤を使っていました。
「アタック消臭ストロングジェル」は、日本在宅介護協会第1号認定商品。尿臭ブロッカーEX成分により繊維の奥にある皮脂の汚れ、尿臭、加齢臭に発揮します。
柔軟剤は「ハミング」がおすすめ。本体容量が2500mlと大容量なので、コスパ重視の人や買い物の回数を減らしたい人に適しています。どうしても介護中心になると買い物の回数は減りますからね。
自分の服
介護用の服を用意して、こまめに取り換えることで臭いを防ぎます。
エプロン、インナー、ズボンなどは介護専用を買う必要はありません。
介護は、機能性重視。同時におしゃれもしたいですよね。
私は、カフェの店員さんを意識したコーディネートで、介護用の服を選びました。
ストレッチ素材を選び、安価な服をワンシーズンで取り換えるといいでしょう。
私の場合、服はボーダー柄、ストレッチが効いた黒のレギンスパンツで統一しました。
好みはあると思いますが、「ポケットが多い」という理由からエプロンをつける派です。市販では売っていないので、専用エプロンは通信販売で購入しました。
カラーは「ベージュ」です。個人差はありますが、セミミドル丈のほうが動きやすいと思います。
私は「ナースリー」のメーカーを愛用しています。
寝具
1週間に1度を目安に、布団カバーや枕カバーを洗います。私は、祖母がお風呂に入る日に合わせて洗っていました。
冬場のシーツは乾きにくいため、2~3枚ほど用意しておくと安心でしょう。
布団や毛布は介護用消臭スプレーを使い、布団乾燥機で乾かしていました。
デオールの消臭スプレーは「柿タンニン」の成分が入っていて、病臭や便臭をすばやく消しとります。
がんの臭いにも消臭効果があるので、ストーマの処理や掃除のときに「シュッ」とスプレーしていました。無香料と記載してありますが、体感的には柿の香りがします。
大物のシーツは、コインランドリーの乾燥機で消臭する方法もあります。コインランドリーの乾燥機は70℃の温風で乾燥させて、臭いを取り除きます。天候にも左右されないので積極的に利用するといいでしょう。
外出が難しい人は洗濯代行やヘルパーを使う方法も
水洗いできる物であれば、洗浄、乾燥、お届けまでしてくれるサービスもあります。
洗浄、乾燥のみのシンプルなプランはもちろん、たたみ、デリバリー付きなどライフスタイルに合わせて選べる点もメリットです。
翌日に配達してくれる業者もあるので、洗濯物を干す場所がない人におすすめの方法です。
近くに業者がない場合は、ヘルパーに依頼する方法も。コインランドリーでの洗濯を依頼できるので、外出が難しい人は頼んでみましょう。
室内空間
紙おむつは、そのままごみ箱へ捨てるのではなく、新聞紙に包むようにしましょう。
新聞紙はセルロースと呼ばれる炭水化物で構成されています。セルロースは水分を吸収する働きがあり、湿気はもちろん臭いもとってくれるのです。
紙おむつやストーマの便処理は、新聞紙で包んでから捨てると臭いを防げます。
私もストーマ内の便は、ペットシーツの上で処理、さらに新聞紙で包み捨てていました。
便処理で臭いが気になる場合、介護用の消臭スプレーを使うといいでしょう。
置き型タイプの介護専用消臭剤もあります。
ごみ箱は屋外が理想的ですが、雪が降る地域などは難しいと思います。
廊下など要介護者から離れた場所に置き、ごみ袋を2枚重ねにするなどで臭いを防げます。
ふたつきのごみ箱を用意すると、臭いは気になりません。
臭い対策は要介護者に配慮することも大切

「臭い」からといって「本人の目の前でスプレーを使用しない」ことも大切です。
日本国憲法第13条では、「すべて国民は、個人として尊重される」と述べています。
たとえ家族であっても要介護者の尊厳を保ち、生活できるように配慮しましょう。
背後でスプレーを使う、しゃがんで使うなど、要介護者の見えない所で対策してください。
まとめ
臭いは家族以上に、要介護者が一番気にしています。
不便、不快に感じることは、家族や周囲と協力する必要があります。
臭いは、こまめな洗濯と介護用消臭スプレーなどで対処できるでしょう。
消臭剤も1種類ではなく、さまざまなメーカーから発売されています。
お気に入りの消臭剤を見つけてください。
一人で抱え込むのではなく、コインランドリーを使う、業者やヘルパーを利用することも大切です。室内の臭いに悩んでいる人は、要介護者の気持ちを尊重しつつ、対策していきましょう。