電動ベッドや介護ベッドは、将来を見越して若いうちから導入する人が増えています。
近年のベッドはおしゃれなデザインも増えており、取り入れやすくなっているのも人気のひとつです。
・寝起きが楽になる
・呼吸が楽になる
・足の疲れが取れやすくなる
といったメリットもあります。
ですが……わが家の場合「要介護2」の祖母のために、真っ先に悩んだことは「介護保険でレンタルするか自費で買うか」でした。
・ベッドの機能は何があるの?
・どの機能が重要なの?
・マットレスはどれを選べばいいの?
といったことも悩みます。
介護ベッドは一定の要件を満たすと「非課税」の対象になる商品です。
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マットレスとサイドレールも非課税になるため同時購入がおすすめです。
今回は、介護ベッドを購入しようと考えている人に向けて、気をつけたい3つのポイントを紹介します。
介護ベッドを導入するきっかけ

そもそも祖母は、入院するまで布団で寝ていて「介護ベッド」とは無縁の生活でした。
今まで元気だった祖母の体調が悪くなり検査したところ、卵巣がんが判明します。
入院した日を境に……
・人生で初めての入院生活
・がんの手術
・ストーマ(人工肛門)を造設
・おむつ着用になる
・手術から3週間後に退院が決まる
と生活が一変します。
退院のめどが立ってきたころ、布団で寝起きするわけにもいかず介護ベッドを導入することになったのです。
介護ベッドを自費で購入した理由

「介護保険の手続きが複雑すぎる」ことや「心理的な抵抗があった」というのが理由でした。
介護ベッドをレンタルするために必要な手順
介護ベッドをレンタルしたい場合、まず市役所や地域包括センターで「介護保険」の申請をします。
本人の代わりに家族が申請することも可能です。
【要認定調査】
市町村の調査員が自宅や施設に訪問し、要介護者の状態を確認する調査があります。訪問調査は1時間くらいでしょうか。
・訪問調査(予約状況によって1カ月待ちもある)
・主治医の意見書
・コンピューター判定
・介護認定審査会
などの一次判定、二次判定を得て「要介護度」が決定します。
介護認定申請から30日程度で通知書が郵送される仕組みです。
介護ベッドをレンタルできる人
介護ベッドは「要介護2以上」の人がレンタルできます。
入院している祖母は、病名も検査中で不明のため要介護認定も決定していません。
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「レンタルできるのかも分からなかった」というのが正直な感想です。
介護保険でレンタルする場合、平均的な自己負担額は1カ月600~1,200円ほど。
1割~3割負担と個人によって幅がありますが、安く借りられる点がメリットです。
ただ、介護報酬制度は3年に1回は改正があります。
今後は保険料の値上がりや利用者の負担額増はさけられないと思います。
「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、介護給付抑制が進むと将来的に介護ベッドのレンタル料も変更になるかもしれません。
つまりレンタルするよりも「実費のほうが安いかも?」と感じたからです。
無料で支給されていた家族介護用品給付券(おむつ券)も、翌年から対象外(実費)になりました。
【要介護度決定後】
要介護が決定してもレンタルできるわけではありません。
① 担当のケアマネジャーを決める(相性の問題がある)
②ケアプラン作成してもらい、レンタル業者を選ぶ
③福祉用具専門相談員が自宅にきて福祉用具を選定する
④利用者が使いやすいか確認する
⑤利用者が福祉用具専門相談員と契約する
⑥レンタル開始
といった工程を経て、介護用具を使えるわけです。
祖母は手術で入院中だった
急に具合が悪くなり、入院した祖母は介護ベッドをレンタルするための時間がありませんでした。
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検査が続き病名が分かるまで3週間かかり、さらに手術まで入院というスケジュール。
一方の家族は…
・病院の往復(お見舞いや洗濯)
・家族の仕事
・祖母の部屋掃除
・通常の家事
とさまざまなことがありました。
一番大変だったのは祖母の部屋掃除
6畳の祖母の部屋は、足の踏み場もないくらいの物や荷物がありました。
衣装ケース、3段の引き出しチェストはもちろん、畳の上には大量の服や荷物。
当たり前ですが、介護ベッドを置くスペースもありません。
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部屋を片付ける作業に時間もかかり、介護保険申請の手続きに手が回らなかったというのが体感です。
※介護保険は「退院後」に申請済みです。
心理的な抵抗があった
これは看護師でもある母が、レンタルベッドを拒んだ理由です。
看護師歴40年のベテランです。

レンタルの場合だと誰が使ったか分からない
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そりぁ…そうでしょう
もちろんクリーニング済みなのでしょうが…
マットレスも中古。
介護用品のレンタルは気分的に受付けない様子でした。
レンタルする場合は、
・中古品を問題なく使用できるか?
・業者・メーカーの信頼性
この点を理解しておきましょう。
レンタルとなると自分の持ち物ではありません。
業者の利用規約を守る必要があります。
故意に壊した場合は「修理代・交換代」を支払う可能性もあります。
わが家には2匹の猫がいるのですが…
もし、マットレスに爪とぎをしたらと考えると怖いですよね。

「介護用シャワー椅子」は届いた日に「爪とぎ」をしていました。
介護ベッドを選ぶときの3つの基準

さまざまな理由を得て、自費で介護ベッドの導入を決めました。
介護ベッドを購入するときに意識したポイントは3つです。
1.ベッドの高さ
2.モーターの種類
3.リモコン操作
ベッドの高さ
寝るときは「低い位置」で、逆に立ちあがるときや介護中は高い位置にできるようにと、調節できるベッドを重要視しました。
・畳の部屋で布団を敷いて寝ている人
・小柄な人
・介護ベッドに慣れていない人
は「低床型」ベッドがおすすめです。
メーカーによって異なりますが、床からボトム上面までの高さは11~25㎝のベッドを選ぶといいでしょう。
マットレスの厚みで高さがプラスされるので、なるべく低いベッドを選んでください。
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私は床からボトム上面まで20センチのベッドを選びました。
また低床型ベッドは、高さが低いので部屋が広く感じるメリットも。
フレームが見えないタイプもあり、介護ベッド特有の「安っぽさ」がないベッドもあります。
介護ベッドはメーカーによっては身長に応じて3サイズから選べます。
私は「レギュラーサイズ」を選びました。外径をいれると畳1畳くらいの大きさです。
機能の種類
介護ベッドのおもな機能は下記のとおりです。
・背上げ機能
・高さ調節機能
・足上げ機能
この機能は、すべてのベッドに備え付けられているわけではありません。
どの機能が必要なのか、見極めて購入する必要があります。
次に介護ベッドの機能を説明します。
背上げ機能
ベッドの背もたれが好きな高さまで上げられる機能。
寝たまま体を起こし上げるので移動がスムーズになります。
座った姿勢で食事がとれるなどのメリットがあります。
退院時の祖母も
・自力で起き上がれなかった
・自力で立つことが難しかった
・ご飯をたべることが難しかった
こういった部分は背上げ機能が役に立ちました。
高さ調節機能
ベッドの上下高さを変えられる機能ですね。
ベッドから降りるとき、立ちあがりやすいように自分の好きな高さに調節できます。
介護する側も腰の負担が軽くなるといったメリットがあります。
高さの調節はメーカーによって異なります。
・ストーマの貼り替え時、便の排せつ時
・おむつ交換時
・体をふくとき
という場合に高さ調節機能は便利です。
看護師の母が譲れなかった機能が「高さ調整」です。
高さ機能付きのベッドは、立ちあがり時に役に立ちます。
介護のときは中腰が続くため、腰に負担がかかりやすくなります。
高さ調節機能は、介護時の腰の負担軽減や「シーツ交換」が楽に行える点がメリットです。
足上げ機能
足の部分を持ちあげる機能です。
背もたれ機能を使ったときに、体が足側に落ちないような役割もあります。
膝上げとして使うこともできるので、足のむくみ防止に使う場合も。
膝の部分で山型になるタイプと膝下からつま先まで水平に上がる機能に分かれます。
モーター数とは
介護ベッドは、ベッドに搭載されている機能によって「モーター数」が変わります。
一般的に
・1モーターベッド(ワンモーターベッド)
・2モーターベッド(ツーモーターベッド)
・3モーターベッド(スリーモーターベッド)
・4モーターベッド(フォーモーターベッド)
と呼ばれています。
「1モーターベッド」の場合は「背上げ機能」のみ。
「背上げ機能」と「高さ調節」の組み合わせの場合は「2モーターベッド」と呼びます。
では、詳しく見ていきましょう。
1モーターベッド(背上げのみ)
リクライニング可能なベッドですね。
好きな角度に調節できます。
横になった姿勢から自力で起き上がるとき、座った姿勢が維持できない場合に便利な機能です。
2モータータイプ(背上げ+高さ)
背上げと高さをそれぞれリモコンで操作できます。
寝たきりが続いている場合は、介護する側も「腰」に負担がかかるため高さ調節があると便利です。
3モータータイプ(背上げ+高さ+足あげ)
背上げ・高さ調節・足あげを別々でリモコン操作できます。
足あげといった単独操作も可能。
高さ機能は畳に寝ていてベッド生活になれていない人にも向いています。
4モータータイプ(背上げ+高さ+足あげ+寝返り)
ひかくてき新しいベッドで4モータータイプもあります。
体を動かすことが困難な人に向いています。
寝返り機能は左右の肩を傾けるといった細かい部分の寝返りの調節が可能。
睡眠を妨げない自動機能運転付きや速度なども調節できます。
リモコン操作が難しく値段が高めなのがデメリットです。
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介護ベッドを購入する場合は、3モータータイプがおすすめです。
3モーターベッドであれば、介護度が変わっても対応できるでしょう。
祖母は3モータータイプを1年程度使い、
・自力で立ち上がる
・自分でご飯をたべる
・自力で起き上がる
といったところまで回復しました。
リモコン操作
モーター数が増えるとリモコンのボタン数も増えてきます。
一般的なリモコンの平均ボタン数は
1モーター:2~4個
2モーター:4~6個
3モーター:6~8個
4モーター:8~10個
と…かなり多い。
介護ベッドを買うとなると機能やデザイン重視で選びがちです。
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私はリモコンの色や使い勝手にも気をつけました。
中には「電源ボタン」がついているリモコンもあります。
これ、高齢者には難しいと思うんですよ。
そこで
・リモコンの文字が大きいこと
・リモコンの絵柄が大きいこと
・一目でリモコンと分かる色であること(黒が望ましい)
を目安に選びました。
メーカーによって「無線」と「有線」に分かれているリモコンも。
常に決まった角度を維持したい方は、液晶タイプのリモコンもあります。
最新のリモコンも良いのですが…
使いこなせますか?
複雑なリモコンは取り入れない
電話ですらうまく使いこなせない祖母。
リモコン操作も理解不能になりそうな予感はしていました。
祖母の部屋には電気毛布とエアコンのリモコンがあります。
電気毛布は自力でできているようですが…
エアコンの冷房・暖房切り替えは一人でできません。
「スタートボタン」が分かれば使いこなせます。
ここに介護ベッドのリモコンも備え付けるわけであって…
わが家のボタン数は8個。色は分かりやすい黒にしました。
色で機能が分かれているリモコンです。
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ベッドのモーター数を決めてから、リモコンを選ぶとスムーズです。

ベッドは決まったものの…リモコン操作が複雑で…
すべてを満たすベッドに出会えず…ってことはないの?
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この場合は、展示品だけではなく「旧モデル品」を探すと幅が広がります。
在庫に限りはありますが、好みのデザインが見つかるかもしれません。
介護ベッドを買うときに気をつけること

普通のベッドを購入するとき、ベッドとマットレスは別々で売られていますよね。介護ベッドも同じでセット商品ではないんです。
普通のベッドのマットレスが使えるかも?と思ったら大間違い!
介護ベッドは専用のマットレスが必要です。
・ウレタンマットレス(元気な方・軽介護の方)
・ポケットコイルマットレス(元気な方・軽介護の方)
・サポートマットレス(要支援・要介護1・2・3・4)
と種類は豊富です。
固め・柔らかいをリバーシブルできるマットレスや、丸洗いできるタイプもあります。
まず、必ずメーカーに合わせたマットレスを選んでください。
パラマウント製のベッドに、フランスベッド用のマットレスはNG。
マットレスはベッドと同じメーカーに合わせて選ぶように心がけましょう。
※床ずれが起きた場合は、医学的な治療が必要ですので医師や看護師といった専門家の意見に従ってください。
元気な人や軽度者は硬めのマットレス
一部介助が必要な場合でも、できるだけ自力で起き上がりをしてほしいですよね。
柔らかいマットレスは、寝返りがうちずらい、立ちあがるときに不安定になる場合があります。
祖母は「生活の自立」を目標にしたので「マットの縁がしっかりしている固めのマットレス」を選びました。
またスムーズに介護できるかもポイントです。
・適度な凹みがあるか
・手が入りやすいか?
・尿漏れシーツが滑らないか
・撥水加工済みか
などをチェックするといいですよ。
逆に柔らかいタイプ、耐圧分散マットレスなどは「寝たきり」の方に向いています。寝たきりの人は、床ずれが優先ですので専門家の意見を取り入れてください。
おすすめのメーカー
電動ベッドがのちに介護ベッドにもなる介護ベッド国内シェア№1の「パラマウントベッド」はおすすめです。
介護ベッドの主力製品は楽匠シリーズです。
将来を見越して電動ベッドを探している人は、INTME1000(インタイム1000)がおすすめです。
わが家のように急に介護が必要になったケースはもちろん、敬老の日のプレゼントなどに人気があります。
パラマウントベッドは後着けできる
・スイングアームバー
・サイドレール
・サイドテーブル
・キャスター
など介護オプションも豊富のため、必要時にアイテムを付け加えることもできます。
ナチュラルカラーを求める人は、「フランスベッド」がおすすめです。サイドレールのカラーもベージュがあるので、かわいさを求める人はフランスベッドがいいでしょう。
まとめ
祖母はがんの手術により入院し、今後の生活を考えて「介護ベッド」を導入することになりました。
介護ベッドは
・ベッドの高さが低いこと
・モーター数に注意すること
・リモコン操作がしやすいか
を重点に選ぶと良いでしょう。
わが家のように介護生活は、突然やってきます。用具をレンタルするためには手続きなど時間を要するため、介護ベッドは若いうちから導入することをおすすめします。
今は6畳の部屋の真ん中に介護ベッドを「ドンッ!」と置いています。
布団で寝ている方や普通のベッドで寝ている人で、介護ベッドを買おうか悩んでいる場合は参考にしてくださいね。