和食や洋食、おせち料理などイベント料理の盛り付け時って、「なんとなく個性が出ないな」と悩んだ経験はありませんか。
そんなときこそ「飾り葉」があると、プロが作ったような仕上がりになるんですよ!
でも、どのような飾り葉を使えばいいのか迷いますよね。
今回は、自分が作った料理の盛り付けに使えるおすすめの飾り葉や使い方を紹介します。
料理の盛り付けを引き立てる飾り葉の役割
料理の盛り付けを引き立ててくれる飾り葉には、どのような役目があるのでしょうか。
日本料理の飾りは2種類ある
日本料理においては、主に「紙掻敷(かみかいしき)」と「青掻敷(あおかいしき)」の二つの飾り方があります。
紙掻敷とは
文字通り紙を折って皿の下に敷き、その上に料理を盛りつける手法です。
天ぷらなどの下に紙が敷かれているのをよく見かけるかと思います。
青掻敷とは
紙ではなく植物の葉や花を使って飾りつける手法です。
四季折々の植物の葉や花を料理に添えることで、和食の魅力を引き立ててくれます。
料理がお皿に盛られているだけよりも、青々とした葉や花が添えられていると、美しさが増して、季節の移ろいを感じさせてくれますよね。
青掻敷は鮮度を保ってくれる効果もある
青掻敷に使用される葉には、抗菌、殺菌、防腐、防臭といった効果があるとされています。
お寿司やお造りに添えられた葉は、美しさだけでなく、料理を新鮮に保つ役割も果たしています。
食べられないとはいえ、料理を彩るこれらの葉っぱは、和食にとってとても大切な存在。
最近では人工の葉を使うこともありますが、やはり料亭などでは新鮮な季節の葉を使うことが多いですね。
それぞれの季節を感じさせる葉っぱが、料理の世界に独特の魅力を加えてくれるんですよ。
天然素材を使用した飾り葉の種類
ここからは季節に応じた、代表的な飾り葉を紹介していきます。
飾り葉(かいしき)は食べ物ではありません。料理に添えられていたとしても食べないでください。
春に使える盛り付け用の飾り葉
1月末から4月にかけては、花木が多く登場します。
春によく使われる飾り葉には、次のようなものがあります。
- 柚子の葉
- 山茶花(さざんか)
- 木の芽
- 柊(ひいらぎ)
- 梅
- 桃
- 桜
- 菜の花
- ヨモギ
- タケノコの皮
- つつじの花
- えんどうの花
桜は日本を代表する花。「祝福」や「お祝い」といった意味が込められていて、桜には、古来から「魔除け」「邪気払い」の力があるとされています。
また、「世代交代」を意味する柚子の葉や、「茶花の女王」と称される椿、山茶花(さざんか)も春の代表的な飾り葉です。節分には、鬼が苦手とされる柊(ひいらぎ)が用いられることもあります。
夏に使える盛り付け用の飾り葉
夏は、太陽の光をたっぷり浴びて育った木々や野菜の葉を使って、料理に美しい彩りを加えます。
- ナスの葉
- キュウリの葉
- ショウブ
- ヤマボウシ
- 楓(かえで)の葉
- イチョウの葉
- 蓮(はす)の葉
- 笹の葉
- 桑の葉
- ホオズキ
- トレニア
- パンジー
夏の青かいしきには、私たちにもなじみ深いイチョウや笹の葉がよく使われます。
ナスやキュウリのような夏野菜の葉、桑の葉、ホオズキなども、美しい緑色が料理を引き立ててくれます。
飾り葉を器に敷くことで、食卓に夏の息吹を感じさせることができるんですね。
畑にあるナスやキュウリの葉を飾り葉として使ってもいいのね!
そうめんに、氷と楓の葉を使うと涼しい印象が出るよね!
秋に使える盛り付け用の飾り葉
秋の9~11月は、農作物の収穫に感謝し、来年の豊作を願う季節でもあります。
「秋の実り」を意識した飾り葉を使うといいですよ。
- モミジの葉
- イチョウの葉
- 銀杏
- 柿の葉
- 栗の葉
- 菊の花
- 萩(はぎ)
- ススキ
- 山ぶどう葉
- 三枚笹
- 千日紅
- 稲穂
また、秋の七草として知られる萩やススキもおすすめです。
草冠に「秋」と書かれた「萩(はぎ)」は、秋を象徴する花。秋のお彼岸に供える伝統的な和菓子「おはぎ」の名称も、「萩」から由来しています。
庭にある柿の木も飾り葉に使えそう!
庭木にあるモミジも飾り葉に使っても良いね!
冬に使える盛り付け用の飾り葉
冬といえばお正月。「松竹梅」としたいところですが、冬は梅の花が手に入りにくいため、菊が用いられるのが一般的です。菊(キク)も、切り花が長持ちすることから「延命長寿・厄除け」につながるとされています。
松(マツ)は、常緑樹で、一年中葉が落ちないことから「不老長寿」、竹(タケ)は、次々と新しいタケノコが生えることから「子孫繁栄」を表しています。
冬に用いられている飾り葉は、縁起の良いものばかり。
- 松葉
- 南天
- サザンカの葉
- 竹
- 菊
- 千両(センリョウ)
- 裏白(ウラジロ)
- 楪(ユズリハ)
- 熊笹(クマザサ)
- 檜(ヒノキ)
- 椿の葉
- 万両
南天(ナンテン)は「難を転じて福となす」、千両(センリョウ)は「商売繁盛・富」、裏白(ウラジロ)は「清廉潔白」、楪(ユズリハ)は「家系が絶えない」といった意味があります。
仕切りに使い勝手の良い熊笹(クマザサ)や、殺菌作用のある檜(ヒノキ)などもおせち料理によく使われている飾りの葉です。
盛り付け用の飾り葉の探し方
盛り付け用の飾り葉は、どこで購入できるのか気になりませんか。ここからは3つの探し方についてまとめてみました。
つまもの屋で購入する
大きな市場の場合は、珍味を扱うお店に行くと売っています。市場の近くや飲食店が多い地域を探索し、そこにある「つまもの屋」を探すと良いでしょう。
お店に行ったら、日本料理でよく使われる裏白、萩、ユズリハなどの種類があるかをチェックします。
飾り葉は新鮮なうちに使うのが一番なので、過剰に購入せず、必要な分だけを選んでください。
一部のデパートや大型スーパーでも、盛り付け用の飾り葉が売られています。
自分で採取して手に入れる
自分で採取する場合は、季節に応じて使える植物の種類が異なります。
春ならば菜の花、秋には色づいたモミジの葉ですよね。
自宅の庭や公共の公園(法的な許可が必要な場合があります)で採取できます。
採取したあとは、虫や汚れを取り除くために「下処理」も必要となってきます。
自分で採取する場合は、植物の種類、季節、場所、法的制限、環境への配慮など十分に考慮する必要があります。
自然に対する敬意を持ちながら、適切な方法で採取しましょう。
自宅の庭でモミジを育ててもいいね!
インターネットで手に入れる
盛り付け用の飾り葉は、「インターネット」を通じて手に入れると効率が良いでしょう。
インターネットは、品ぞろえの豊富さと便利さが魅力ですよね。日本料理用品を扱うサイトや、飲食業界向けの専門店もあります。
季節によっては一部の葉が手に入りにくいので、在庫状況を確認しておくことが重要です。
ただし、品質の保証、配送方法、返品ポリシーなどを事前に確認し、信頼できるオンラインショップから購入してください。
盛り付け用の飾り葉を使うときの3つの注意点
盛り付けで飾り葉を使うときは、3つの注意点もあります。
旬が過ぎた飾り葉は使わないほうがベスト
節句に合わせて使う「かいしき」は、節句が終わったら使用を控えるべき。
節句は、季節の変わり目を祝う特別な日のため、節句が終わると「新しい季節がスタートする」と考えます。
日本料理では、季節感を大切にしているので、節句用のかいしきはその節句の時だけに使い、次の季節には新しいかいしきを選ぶのがおすすめです。
香りが強い飾り葉は多用しない
飾り葉はあくまで料理を引き立てる役割があるため、主役である料理の味や香りを邪魔してはなりません。
香りが強すぎると、料理本来の魅力が隠れてしまう恐れがあります。
ヒノキの葉は森の中にいるような清々しい香りがするね!
香りに対する感受性は人によって異なります。強い香りは一部の人にとって不快に感じられることもありますので、控えめが望ましいでしょう。
飾り葉は多用しすぎない
飾り葉を過剰に使うと料理自体が見えにくくなり、見た目のバランスが損なわれる恐れもあります。
多用しすぎると、料理本来の味が飾り葉で消されてしまう可能性も。
あくまでも主役は料理です。盛り付け用の飾りは、食材を引き立ててくれますが、過度に使用しないでくださいね。
まとめ
今回は、盛り付け用に使える飾り葉の種類について解説してきました。
盛り付け用の飾り葉は、季節に応じて使い分けるのが一般的です。インターネットでも手に入りますが、できるだけ季節に合った飾り葉を選ぶようにしましょう。
コストを抑えたい方は、自宅の庭の花木を採取しても構いません。モミジや南天などは、料理を華やかにしてくれるでしょう。
盛り付けを華やかにしたい方は、飾り葉で料理を楽しんでみてください。
花屋やホームセンターで販売されている植物は鑑賞用です。食べたり口に入れたりしないでください。