生花を使うと、すぐに枯れてしまうため、造花をお供えしたいときもあるでしょう。
夏はすぐに枯れるから造花にしたいよね!
さがに仏花となると、何かしらのタブーがあるのか気になりませんか。
そこで今回は、造花を使用した仏壇の花のメリットとデメリットについて解説します。
また、造花の選び方や飾り方についても詳しく紹介します。仏壇の花に迷っている方は必見です。
仏壇にお供えする花とは?
まず、仏壇にお供えする仏花は、3つのポイントがあります。
- 仏花には決まった色がある
- 仏花に適さない花の種類がある
- 仏壇にお供えする花の本数は奇数
仏花には決まった色がある
基本的に仏壇にお供えする仏花は、決まりがあります。
- 四十九日までは「白」「黄色」「紫」の3色
- 四十九日の法要は「白」1色
- 四十九日が過ぎた後は「白」「黄色」「紫」「赤」「ピンク」の5色
通常、四十九日までの間は「白」「黄色」「紫」の3色と決まっています。
四十九日の法要は、原則「白い花」を用意するのが一般的です。
この期間は故人が裁きを受けているとされ、敬意を表して白い花を供えるのが適切とされていました。
地域によっては色は異なっていて、近年では白色に限らず他の色を取り入れた仏花も増えてきているようです。
四十九日が過ぎた後には、「白」「黄色」「紫」の3色に加えて赤とピンクも使用可能。
「白」「黄色」「紫」「赤」「ピンク」の5色の組み合わせが、仏壇用の花に適しています。
仏花に適さない花の種類がある
仏壇へのお供えには、刺がある、毒性を持つ、強い香りの花は避けましょう。
棘のある花
- バラ
- アザミ
- サンショウ
- ワルナビス
毒のある花
- 彼岸花
- チューリップ
- スイセン
- 紫陽花
- スズラン
- アサガオ
- レンゲツツジ
- マーガレット
強い香りの花
- クチナシ
- ユリ
- ラベンダー
- スズラン
- キンモクセイ
ユリを仏壇にお供えしたい場合は?
ユリは強い香りのため、虫が集まりやすく、生花特有の強い香りが仏壇にお供えする花としては適さないとされています。
ですが花言葉に「純粋」「尊厳」「神聖」といった意味があり、故人への敬意や祈りの気持ちを表現するために選ばれることが多い花でもあります。
ユリは仏花として好まれているので、絶対にダメという理由はないようです。
ユリの花粉は服につくと取れないから蕾が開いたらおしべを切ろう!
ユリの花粉は墨汁並みに取れないね!
松は刺があるため、一見仏花に不適切と思われがちですが、実際には冬でも枯れないことから健康や長寿を象徴する縁起の良い植物とされています。
そのため、仏花として用いても問題ありません。
新年には「難を転じる」という意味を持つ南天やセンリョウ、梅などを飾ると、季節感ある仏花に仕上がります。
ただし喪中は故人をしのび穏やかに過ごす期間であるため、松を含む華やかな飾りは控え、通常の仏花で過ごしましょう。
仏壇にお供えする花の本数は奇数
仏壇に供える仏花は、本数を奇数にするのが一般的です。
「3本」「5本」「7本」を束ねてお供えすると良いと言われていますが、大切なのは故人を敬う気持ちです。
だから小さなお花でも大丈夫。
仏壇に2つの花立てを置く場合、それぞれに同じ本数の花束を用意します。
市販の花束は輪ゴムで束ねられていることが多いですが、輪ゴムを取り外さずにそのまま仏壇に飾っても問題はありません。
花立が一つだけの場合、一束の仏花で構いません。生ける際には、花がひし形の形になるようにバランス良く配置してください。
仏壇にお供えする仏花は造花でもいいの?
仏花は生花が望ましいと言われていますが、造花をお供えしても問題はないのでしょうか。
ここからは仏壇にお供えする仏花は、造花でも良いのかについて解説していきます。
仏花は造花でも構わない
仏壇に造花を供えることに対して抵抗を感じる方もいますが、必ずしも生花でなければならないという決まりはありません。
お寺によっては「常花」と呼ばれる仏具が使われているのを知っていますか。
「常花」は、生花を模したもので、本質的には造花と同じ役割を持っているんですよ。
生花を新しくする際、一時的に仏様へのお花がない状態になることがありますよね。このようなときに「常花」をお供えするようです。
常花は天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗、日蓮宗などさまざまな宗派で用いられています。
浄土真宗ではお水やお茶をお供えする習慣がない
わが家は「南無阿弥陀仏」の、浄土真宗です。
88歳で亡くなった祖母は、毎朝、仏壇にお水をお供えしていたのですが、ある日お寺の住職に「浄土真宗はお水をお供えしてしなくてもいい」と言われたそうなのです。
理由は、お水を供える代わりに、華瓶(けびょう)という仏具に櫁(しきみ)をお供えすることが一般的だからだそう。
たしかに仏壇には樒があるわね…
浄土真宗本願寺派(西本願寺)では色付きの華瓶を使用し、真宗大谷派(東本願寺)では金色の光沢のある華瓶を使用します。
浄土真宗は、他の宗派とは異なり、ご本尊の前や過去帳にお水やお茶を供える習慣はないとのこと。(浄土真宗は位牌の代わりに過去帳を用いります)
住職の説明によると、阿弥陀様や仏となったご先祖様は、喉の渇きを感じないため、その点について心配する必要はないようです。
仏壇に多くの仏花を供える人もいるようですが、実際には一束だけで十分らしいです。
造花をお供えるすることは手抜きではない
造花を供えることが手抜きとは限りません。
「供養する」という意図があれば、そもそも「何も供えない」という選択はしないでしょう。
重要なのは、生花であれ造花であれ、故人を思いやる心と、手を合わせる人の心持ちです。
仏花の向きに注意する
仏花の正面は、礼拝する人の方向に向けます。
一見、「仏様のための花だから仏壇の方向に向けるべきでは?」と思うかもしれません。
実際には礼拝する人が花を楽しむことが、仏様の喜びとされているため、このように配置されるのです。
仏花を造花にするメリット
仏壇にお供えする仏花を造花にしようと、考えている方もいるのではないでしょうか。
季節に応じて造花にできたらありがたいよね!
仏花を造花にするメリットは、どのような面があるのでしょうか。
枯れる心配がない
造花は生花と異なり、時間がたっても枯れることがありません。
水やりや剪定などの日常的な手入れが不要で、忙しい人にとっては特に便利です。
ユリは花が咲くと花粉を取らないとだからね…
価格が安価のためコストパフォーマンスに優れている
造花の場合、仕入れの際に廃棄ロスが発生しないため、コストを抑えることが可能です。
一方で、生産コストが高い種類の生花は、それに応じて販売価格も高くなります。
ユリが1本1,000円と聞いて驚いたよ!
ただし、造花は種類やデザインによっては生花以上に高くなる場合もあるため、注意してください。
季節に囚われずにアレンジできる
特定の季節にしか咲かない花も、造花なら一年中手に入りやすい点もメリットです。
花粉アレルギーや雑菌の心配がないため、アレルギー体質の人や衛生を気にする人にも適しています。
美しい造花を見つけるたびに少しずつ購入し、徐々に増やすことも可能です。
仏花を造花にするデメリット
逆に仏花を造花にするデメリットは、どのような面があるのでしょうか。
フェイク感がある
造花特有の「安っぽさ」があげられます。
写真や遠くから見ると本物との違いが分からないこともありますが、近くで見たり触ったりすると、すぐに偽物であることが分かります。
本物にはない不自然な発色をしており、本物特有の微妙な色合いもありません。
触感もカサカサしたりプニプニしたりと人工的で、枝や幹に針金が入っているため、不自然に曲がることがあります。
植物特有のみずみずしさがないため、本物と比較すると見劣りすることがあります。
物によっては高価な造花もある
造花は100円ショップでも購入できますが、高品質で本物に似せたものはそれなりの価格になるものもあります。
中には、10,000円近くする造花もあります。
この値段であれば、近所のスーパーに売っている1束1,000円の生花の方がお得だと感じます。
汚れが付きやすく掃除がしにくい
造花は枯れない点がメリットではありますが、ホコリが付きやすいのでこまめな掃除も欠かせません。
造花の主な原材料は、ポリエチレンなどのプラスチックです。
ポリエチレンは静電気を帯びやすい性質があるため、空気中のホコリや小さなゴミを引き寄せがちです。
経年劣化が生じるため、劣化によって表面がベタベタするようになり、触感も悪くなります。
定期的な掃除を行わないと、造花はすぐに汚れが蓄積します。
ヘビースモーカーがいる環境では、壁にヤニが付着するのと同様に、造花も汚れる可能性があるでしょう。
おそらく1カ月くらいでホコリがつきそうな感じよね。
仏花をお供えするときの注意点
ここからは、仏花をお供えするときの注意点を解説していきます。
お墓にお供えする仏花は生花しかダメ
特にお墓参りでの造花はタブーなのだとか。できれば仏壇の仏花も生花が望ましいとのこと。
理由は、枯れゆく花の姿が、人生の移り変わりを意味しているからだそうです。
生花が枯れるということは、その花が生きていた証しです。
生花は故人の「生」と「死」を象徴してくれているのです。
どんなに美しく咲いていても、いずれは枯れ散るのが花の宿命ですし、人間も同様。
逆に造花は枯れないから、「いつまでたっても成仏しないぞ」と…。
恐ろしいこと言うな…住職は…
我が家は、「お盆」と「お彼岸」にお墓参りをしますが、節目のときは仏壇用もお墓用も生花を用意しています。
普段は造花で節目のときは生花をお供えする
仏壇に造花をお供えすることがダメというわけではないようです。
夏は造花だけど何も言われないしね…
例えば、「お盆」「お彼岸」「命日」など節目のときに生花を用意して、日常では造花を使う方法もあります。
お花をお供えすることは供養の一つですので、普段は造花を使用しつつも、お盆、お彼岸、命日などの特別な時期には生花をおすすすめします。
プリザーブドフラワーはお墓には不向き
プリザーブドフラワーは、特殊な技術で加工された本物の生花です。
加工により、生花と見間違えるほどの美しい質感が保たれています。
雨や湿気には非常に弱いため、仏壇に飾る仏花には適していますが、お墓への供え物としては不向きです。
お墓用の仏花を選ぶ際は、プリザーブドフラワーを誤って選ばないよう注意してください。
仏壇用としてお供えする場合も、「湿気」「エアコンの風」が当たらないように気をつけましょう。
まとめ
仏壇にお供えする仏花について、生花と造花のメリットとデメリットについて解説してきました。
造花のメリットは枯れないことや価格の安さ、季節に囚われずにアレンジできることです。
デメリットには、フェイク感があること、一部は高価なものもあること、汚れやすく掃除が大変な点があげられます。
仏花のルールは複雑ですが、最も重要なのは故人への思いです。
ルールを踏まえつつ、故人が好んでいた花や色を選んでみてくださいね。