2月3日は「節分」ですよね。「鬼は外、福は内」と豆をまく方も多いのではないでしょうか。
地域によって、節分に用いる豆の種類が異なるって知っていますか。
落花生を「だらしがない」や「汚い」と呼んでいる地域も。
そこで今回は、地域別の豆の種類を紹介します。
豆まきの起源や意味も解説していきますので、今年の節分に備えてしっかり準備しましょう。
節分の豆まきで使う豆の種類
節分の豆まきに使用する豆は「落花生」と「大豆」の2種類。どの地域で「落花生」を用いているのでしょうか。
落花生エリア
<節分に落花生?>
明日は節分。節分といえば豆まきですが、この豆、当たり前のように大豆と思っていませんか?
ウェザーニュースのアンケート調査(2022年)によると、節分にまく豆は、北海道・東北・信越・九州南部は落花生派、その他のエリアは大豆派という結果でした。https://t.co/fmgfDQsXaQ pic.twitter.com/bTbVCxl0L8— ウェザーニュース (@wni_jp) February 2, 2023
みごとに真っ二つに分かれていますね。ということでおさらいです。
- 北海道
- 東北地方
- 新潟県
- 宮崎県
- 鹿児島県
節分の豆まきに落花生を使うのは、北海道、東北地方、新潟県、そして九州の一部の地域です。
かつては大豆を用いていたそうですが、時間の経過によって、落花生が大豆の代わりに使われるようになりました。
わが家の豆まきも落花生だよ!
落花生は炒ることはしないで、そのまま使用します。
大豆エリア
上記以外のエリアでは、「大豆」を用いることが多いようですね。
落花生の生産量1位の県は節分に落花生を使うのか?
ここで疑問なのが、落花生の生産が1位の県は、「節分に落花生を使っているのか」です。
落花生の生産量を表にしてまとめてみまいした。
順位 | 都道府県 | 構成比 |
---|---|---|
1位 | 千葉県 | 83% |
2位 | 茨城県 | 10% |
全国の落花生生産量は、千葉県が83%とぶっちぎりの1位。
千葉県の豆まきは「大豆」なのか「落花生」なのか気になりませんか。
千葉県の豆まきも大豆が一般的でしたが、最近では落花生を使った豆まきも人気だそうです。
千葉の落花生をもっと多くの人に味わってもらおうと、節分の時期に合わせて「落花生」イベントも開かれています。
初めに、今週の土曜日にイオン千葉ニュータウン店で「落花生の豆まきイベント」を開催いたします。来月3日の「節分の日」を迎えるに当たり、千葉県の特産品であり、全国の4分の3の生産量を誇る落花生を活用した豆まきを行います。当日は、私も参加し、千葉のおいしい落花生をPRさせていただきます。
引用元:知事定例記者会見(平成24年1月26日)概要/千葉県
節分の豆まきは落花生だと思っていたよ!
地域によって違うんだね!
大豆の生産量1位の県は節分に大豆を使うのか?
さらに疑問なのが大豆の生産量1位の県は、「節分に大豆を使用しているのか?」です。
大豆生産量を表にまとめてみました。
順位 | 都道府県 | 構成比 |
---|---|---|
1位 | 北海道 | 28.9% |
2位 | 宮城県 | 7.8% |
3位 | 佐賀県 | 7.3% |
大豆は、とうふ、醬油や味噌に加工しているようです。
大豆生産量1位の北海道は落花生派なんだね!
落花生エリアは昭和30~40年代頃から、大豆の代わりに落花生を用いるようになったとか。高度成長期ですよね。この時期に何があったのでしょうか。
なぜ節分の豆まきに落花生をまくの?
節分は「大豆」が一般的だと思いますが、なぜ「落花生」を使う必要があるのでしょうか。
ここからは、節分に「落花生」を使う理由を解説していきます。
中国産の落花生が入ってきたため
落花生が広く使用されるようになった背景には、中国から大量の落花生が輸入されたことがあります。
日本は、昭和16年(1941年)に日本が戦時体制に移行すると、八街市を除く地域では落花生栽培が禁止されました。
戦後の昭和21年(1946年)に、食品としての需要が急増し、再び落花生の栽培が始まります。
しかし昭和40年代(1965年以降)に日本が高度経済成長を迎えると、農業分野でもより高い収入が求められるようになりました。
この結果、落花生栽培から他の野菜への転作や農地の改変が進み、結果的に落花生の作付面積が大きく減少したのです。
経済復興の過程にあった日本は、海外からの輸入に頼ることに。
まぁ…売る側としても買ってほしいしね……
中国産の落花生が大量に輸入されたことで、大豆の代用品として普及したようですね。
現在も日本で広く消費されている9割の落花生は、海外から輸入されています。
いくら輸入量が増えたからといって落花生をまく理由になるの?
やはり地域性が関係しているようだよ!
外にまいても雪の上で見つけやすいから
2月といえば雪。雪といえば2月というくらい、2月は雪の季節です。
節分では、まいた豆を拾い集めて食べる風習がありますよね。
この時期に、外に向かって「鬼は外!福は内!」と、大豆を使って豆まきしたらどうなるでしょう。
間違いなく見えません……
探すのに苦労します。
雪国で落花生を使用する一つの理由は、「雪の上で豆が目立ちやすい」という実用的な意味が込められているからです。
落花生であれば、雪の中でも見つけやすいですよね。
わが家も雪国。水田で大豆を作っていますが、節分は落花生はです
落花生は殻がついているので衛生的
落花生は、堅い殻によって覆われているのが特徴です。豆まきに落花生を使うと、殻が外部の汚れや細菌から中の豆を守ってくれます。
地面に落ちても、豆自体は殻に覆われているため、衛生的ですよね。
豆まきの後は、豆を拾って食べる風習がありますが、落花生の場合、殻を剥いてから中の豆を食べます。
拾って食べるときに、衛生面で大豆よりも安心感があります。
衛生的な部分で、落花生を用いるようになったとされています。
地域によってはで地元の特産品をPRできる
地元の特産品を節分に取り入れることで、地域経済の活性化にも寄与できます。
千葉県以外にも「落花生エリア」の中には、九州も含まれていますよね。
九州地方で落花生を豆まきに使う理由は、この地域が落花生の生産地だからです。
実は鹿児島県や宮崎県の一部でも落花生が生産されています。
生産量は千葉県ほどではないものの、地元の特産品として落花生を利用する文化が根付いているのです。
節分の豆まきに使った落花生は何個食べるの?
節分で年齢と同じ数(数え年)だけ大豆を食べる習慣がありますよね。
年齢の数(+1)だけ豆を食べると、その年は健康でいられるという言い伝えがあるよ!
落花生を節分で食べる際、1つの殻に通常2粒の豆が入っています。
落花生を食べる場合は、どうなるのでしょうか?
落花生を数えるときは、殻ごと1個として数えるのが一般的です。
例えば、30歳の場合は30個の殻なので60粒という計算です。
落花生は、約30粒で一膳分のご飯に相当するカロリーがあります。1日に摂取する落花生の量は20から30粒程度が適切な目安です。
さすがに30個も食べられないわ~
豆の数を10粒ごまかしたらダメ!
年齢の数だけ食べられない場合は?
年齢を重ねるうちに、どんどん落花生の数も増えていく。節分に年齢と同じ数の豆を食べることは大変だと思います。
食べ過ぎて具合が悪くなったら本末転倒!
そのような方には「福茶」がおすすめです。
「福茶」とは、3粒の福豆に、塩昆布、昆布、梅干し具にを加えたお茶のこと。
ポットから熱湯を注ぐだけで簡単に作れるため、おすすめの飲み物です。
もちろん落花生を加えて飲んでも、ご利益があるそうです。
市販の落花生は、炒った状態で販売されているので、殻をむくだけで使用できます。
落花生を「汚い」=「しょったれ豆」と呼ぶ人もいる
「しょったれ」とは新潟県の方言で「だらしがない」や「汚い」という意味があります。
しょったれらっけ、物をなくすんだて!とか言うわね!
落花生は、殻をねじって薄皮をはいでから食べますよね。
食べるときに散らかってしまうから、「だらしがない」の方言でもある「しょったれ」で「しょったれ豆」という名前がついたんだとか。
食べる人が汚いって意味じゃないから安心してね!
60歳以降の人に、「しょったれ豆」といっても意味は通じると思います。
落花生➡別名『しょったれ豆』多分新潟県のごく一部地域で。
— ピチ夫がパン子。 (@suteteko_suteko) February 3, 2015
落花生=しょったれ豆
落花生食べると周りがしょったれになるから— 尾形かなで🌿ぬいと日常 (@Reorag) February 3, 2019
落花生=しょったれ豆は初めて聞いたなり。なのでちょっと調べてみました。食べるときに散らかるのが汚らしいのでしょったれなんですね。食べる人がしょったれだからしょったれ豆という意味だったらどうしようかと思いましたw
— SAPPY (@sappy_mouse) February 18, 2011
節分の豆まきに使った落花生の保存方法
落花生は、加工方法によって保存方法も異なっています。
- 乾燥落花生
- 煎り落花生
- 茹で落花生
乾燥落花生(生豆)の保存方法
乾燥落花生(生豆)とは、収穫したての落花生を乾燥させたものです。
油で揚げたり、ピーナッツバターや豆菓子などにも使われたりします。
- 冷蔵保存: 半年~1年間可能。殻付きもしくは殻なしの乾燥落花生を密閉保存袋に入れ、冷蔵庫で保管します。
- 冷凍保存: 1年間保存可能。新鮮な状態を長く維持するために、空気を抜いて密閉した保存袋で冷凍します。
煎り落花生の保存
煎り落花生とは、落花生の殻のまま専用の煎り機でじっくり煎って作る落花生です。
- 開封前: 常温で賞味期限まで保存可能。
- 開封後: 2週間~1カ月保存可能。
空気を抜いて密閉した保存袋で保管してください。温度、酸素、湿気を避けることが鮮度維持のポイントです。冷凍保存するとより長持ちします。
茹で落花生の保存方法
生落花生は8~10月の期間限定です。節分の時期に掘りたての「生落花生」は販売されていません。すぐに茹でてから冷凍保存しています。
- 冷凍ゆで落花生: 解凍後は1~2日以内に消費。自然解凍か電子レンジで解凍。
- レトルトゆで落花生: 開封前は常温で賞味期限まで保存可能。開封後は速やかに食べることが推奨されています。
節分に豆まきする本当の意味は?
なぜ2月3日に豆まきをするようになったのでしょうか。ここからは節分の意味についてまとめてみました。
風邪を引かないようにするため
節分は立春の前日にあたる日で、「季節の変わり目」という意味があります。
季節が変わる時期は邪気が侵入しやすいとされ、新しい年を迎えるにあたって邪気を邪気を追い払い、健康や幸福を祈願することが由来とされています。
暦の上では「春」ですが、まだ冷え込みますよね。
季節の変わり目は体調不良に陥りやすく、ささいな風邪が重大な病気につがることもあります。
このような病魔を、昔の人々は鬼や疫病をもたらす鬼と見なし、恐れていました。
つまり節分の鬼は、体調を崩さないための祈願だったのです。
豆まきの手順
ここからは、「節分の豆まき」の手順について解説していきます。
炒った落花生や大豆を用意し、枡や三方に入れて神棚に供えておきます。
通常は20~22時に行います。家族が集まったら始めましょう。昼間でも構いません。
通常は家の主人が行いますが、年男、年女、厄年の人が行う場合もあります。
玄関や窓を開けてください。部屋の奥から「鬼は外!」と叫びながら豆をまいてください。
鬼が戻らないように、窓や戸を閉めてから室内に向かって「福は内!」とまきます。
奥の部屋から順にまいていき、最後は玄関で豆をまいて鬼を追い出します。
枡を胸の辺りで持ち、右手で種をまくようなイメージです。決して投げつけるような、まき方はしないでくださいね。
豆まきの後、厄よけのために、年齢より1つ多い数の豆(年取り豆)を食べます。食べきれない場合は、福茶(福豆3粒に昆布や梅干しを加えたお茶)を飲んでも構いません。
年男・年女は、年神様の恩恵を受けやすいため、豆まき役になることが多いとされています。
節分は炒った豆を使うこと
炒った豆を使用するのは、芽が出てこないようにするためです。昔は、豆に出ると「凶事をもたらす」と恐れられていたそうです。
生の大豆は炒ってから使おう!
市販で売られている落花生は、時期的にも加工されたものが販売されています。
まとめ
今回は、節分の豆まきについて解説してきました。
大豆生産量一位の北海道は落花生。落花生生産量一位の千葉県は、ほぼ大豆を使っていることも判明しました。
北海道、東北、新潟県、宮崎県、鹿児島県などでは節分に落花生が使用されています。中国からの輸入の増加、雪上での視認性、衛生面、地元特産品のPRなどの理由で広まったようですね。
新潟県では、方言で汚いを意味する「しょったれ豆」と呼ぶそう。
節分は、季節の変わり目に邪気を追い払い、健康や幸福を祈願することにあります。今年の節分は、豆まきで鬼退治をしていきましょう。